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すけっち
通信8(2009.5)
松本 知恵

しつれいな話だけれど、わたしは映画美術の仕事をこんなに長く続けることになるなんて思ってもいなかった。

大学の専攻などを見ると、この仕事につくことが不自然ではないのだが、当時、映画美術という仕事も知らなかった。そもそも映画館で映画を見た本数は身体にある指の数で足りてしまうほどだったし、就職活動などもしたことがない。卒業後かなりの間ふらふらとしていて、なんとなく暇だからくらいの流れで映画美学校に入って・・・。

そのころも、講師がどんな人なのか知らないような状況で、表現方法は映画でなくてもいいなどと主任講師だった黒沢清監督に言ったような気がする。そもそも映画美学校も映画美術を志す人が行くカリキュラムはなく、実習で撮影する際に美術パートをすることはあるが、基本的に美術の仕事を教わる事は無かった。

とはいえ、右も左もわからないまま、動きだし10年近くたってしまった。10年なんてまだまだと笑われてしまうかもしれないが、本来飽きっぽい性分の私が同じ仕事を続けている事を自分自身が一番驚いているのです。

私がやってきた作品は低予算で少人数のスタッフという作品が多かったので、休みも無くつらい作業も多いです。実際、現場では汚い格好で走り回っているので、あの人がデザイナー!?なの??なんてことも多々あるわけですが、魔力とでもいうか・・・?それとも考えてるヒマがなかった?とにかく続いているわけです。

そしてこの仕事をするなんて微塵も考えていなかった時間。フラフラしていた頃も含め、なにかしらがこの仕事に役立っているというか、無駄になっていないのが不思議で・・・不思議でもないか・・・。映画美術は「映っているもので役者の演技以外の全て」に何かしらやらなければいけない事があるのだから、作品の世界観によっては生きてるだけでも役に立つ事はなにかしらあっておかしくないはず。かな?
さすがにそれだけで事足りるなんてことはあり得なく、作品ごとに勉強、勉強、なんですが。流されるままできたわりには、運がいいのか・・・。なんとかやってこれてる。

先日、二年程前に撮影した「風の外側」(奥田瑛二監督作品)の時にお世話になった花屋さんからメールが届いた。何気なく観た別の作品に私の名前を見つけ、励ましの便りを下さったのです。「風の外側」は下関で撮影されたものです。地方ロケの作品は地元のいろいろな人に協力してもらうことが多いですよね。あのときも鳳仙花の花を探していました。鳳仙花の種は販売流通にのっているのですが、生花としては取り扱いが無く、まぁ、野花ですから。生花市場や農協やらタウンページを見ながら可能性のあるとこに電話しまくって、それでもあたりはなく。時期も終わりかける頃だったのであせってて、街の花屋さんにまで電話してたんですね。

やっぱり取り扱いはしていなくて、教えてもらった生花関連の会社はほとんど電話済みのところばかりで・・・という具合だったのですが、数日たって「仕入れ先に行く途中の畑に咲いているのを見たから一緒に行って直接交渉してみよう」ということになって、車で3〜40分もあるところまで連れて行ってもらい、畑の持ち主をあちこち捜し、どうにか撮影に使用できる状態で手に入れることができたのです。涙ものです。

ほんと。ちっちゃい奇跡がおきるじゃないですか映画の現場って。花屋さんにはなんのお礼もできず、ありがとうの言葉だけ。それでもこうやって憶えていてくれて、映画館でエンドロールの一瞬に私の名前を見つけて、連絡してくれる。こんなうれしいことも起こるじゃないですか。
そして映画の世界に憑かれ、ハマっていくのでした。流されるままとかいいながら、ぬけれなくなってるわけです。

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