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すけっち
通信No.2(2006.10)より

現在、中田秀夫監督の『怪談』の撮影、真最中。監督、帰国第一弾の作品で、江戸を舞台にした時代劇。撮影は林淳平さん。中田監督とは何本も一緒に組んできた方だ。僕は中田組初参加、刺激的な毎日を楽しんでいる。
さて刺激的と言えば、撮影現場にビジコンがないことを最初に挙げなくてはならないだろう。
中田監督と言えば、ハリウッドで『THE RING 2』 を撮り、最新技術を体験してきた監督と僕は思っていたから、ビジコンなしの撮影は意外だった。
この10年あまりで、モニターで映像を確認しない仕事は今回が初めて。ビジコン普及以前は、ファインダーの中はカメラマンのものだったが、今や、監督、カメラマンはじめ、大勢のスタッフ、役者がビジコンで自分の仕事を確認することが常識となっている。携帯電話やパソコンなどと同じで、一度この便利さに慣れてしまうとなかった頃に戻るのはなかなか難しい。
撮影が始まった初日は僕もいささか不便だなぁと感じていたが、二日目ともなると、このアナログな状況というか、ビジコンなしの撮影はわが美術部にとって、なかなかいいものだと思うようになった。
当たり前のことだが、現場で撮影監督の指示に従うことに素直になった。ファインダーの中は撮影監督が絶対の責任をおってくれている。だから安心して、演出、ライティング、空間を大きく捉え全体を考えて仕事をするようになったように思う。

僕は思い出していた。助手の頃、カメラマンにファインダーをのぞかせてもらったときの緊張感と感動を。そして、ビジコンがなかったその頃は、僕ら美術部の人間は、ショット毎にアングルとフィルムのミリ数を想像し、セッティングの最終確認をカメラ横でしていたものだった。撮影現場における僕らの最大のパートナーはビジコンに映し出される映像ではなく、撮影監督だったはずだ、と。
さらに、今回、ひさびさにラッシュの感動を味わっている。
ラッシュってこんなにいいものだったんだ。 
近頃では、ビジコンとビデオのモニター上で確認作業を済ませることが多く、スタッフがスクリーン上でラッシュを確認しない作品も多い。 
確かにそれで成り立つ作品もあるのだろうが、試写室でスタッフ全員がラッシュを観るときの観る意味は大きいと思う。苦労した仕事がフィルムに定着したという感動。さらにラッシュをチェックしてから美術的な作戦を変えていくこともあるはずだ。 今回の中田組の撮影現場で、僕はこんなふうに美術の仕事を再発見できた。また、想像は創造につながる、ムダも創造につながる、便利になれば、効率的になればそれでよいという単純なことではないんだろう、ということも実感できた。

もちろん、だからと言って現在の美術部からパソコンを排除できるとは思わない。しかし、パソコンがなかった頃は、絵の一枚、図面の一枚に創意工夫が込められていたことも事実だ。パソコンソフトを使って今は修正が容易だ。これは長所でもあるのだが、仕事が安易に流れるリスクもあるかもしれない。便利さからくる安易を乗り越えて仕事に向かわなくてはならない。今回の中田組ではこのことを再確認できた。
それにしても、カメラの横にスタッフが群がっている様子は懐かしい。
監督の「スタート」「イイヨ!」の声。皆が自然に集中している。
時計を少しだけ巻き戻すことで中田組は、ある強固なチームワークをも得ているのだ。

上 映画 『今会いにゆきます』 (土井組)
下 映画 『有頂天ホテル』 (三谷組)

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