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美術監督の仕事とは
美術設計(プランニング、デザイン)のための資料収集、美術考証
美術設計(プランニング、デザイン)のためのロケ−ションハンティング(ロケハン)
図面作成(ロケセット、セットなどのデザイン)
実際に 現場にセットを造る(表現する)作業について
 

【1美術監督の仕事とは】

美術監督は映画製作における美術部門の総合責任者です。
劇映画の製作にあたって、企画、シナリオの良否、それを具体的に表現する監督の演出力、俳優の演技力、撮影、照明、録音、など技術スタッフの技能の総合力が重要であることは云うまでもありませんが、しかし作品にする撮影をしていくためには、その現場に於いて最初に現実的に、具体的に被写体となる場所、(シナリオで設定された場所、或いは芝居が行なわれるのに、最も相応しいく、いかにもそれらしい場所)を造形しておくのが美術の仕事なのです。
美術設計及び実際に形作られた物がそこになければ、映画の撮影はじまらないと言っても過言ではないのです。その意味で映画美術監督のもっている映像美にたいする感覚とその表現力は、その作品に大きな影響力と重要な役割と重い責任を持っているわけです。

映画の美術は肉眼で直接鑑賞する絵画や舞台美術と異なり全てレンズを通し、フイルムに焼付けられ、それをスクリ−ンに映写することにより初めて作品として評価されるもので、監督とはもとより撮影、照明部門との打ち合せ等で意思の疎通がなくては十分にその目的を発揮できません。
美術監督の作品への対応は、美術全分野を総合的に統括し助手がそれを補佐する態勢が基本的システムです。通常はメインスタッフが編成される時から参加しますが、最近は映画製作条件の変化もあり、企画段階から参加のケ−スも多くなっています。

作品の担当が決まるとプロデュ−サ−、監督から製作意図、演出意図、製作条件等を聞き、内容を把握し、それを如何に適切に表現するかの具体的方法について意見交換、打ち合せを充分に行います。
美術監督はシナリオをじっくりと読んで先ずこの作品はどのような映像を要求しているかをイメージします。美の感性と言っても良い部分ですが、培われた経験、多くの知識が必要です。この発想がそのあとの作業に大きな関わりを持つのです。
次にシナリオの要求しているものを如何に表現し得るか、夫々のシ−ンごとに、ロケ−ションかスタジオセットか大きく分けて考えます。野外シ〜ンだからと言って全部をロケ−ションではなく、また屋内のシ〜ンだからと言って全てスタジオセットにするのが良いとは限らないのです。
一見、ロケーションではないかと思わせるスタジオセットもあるわけだし又、自然景観を利用するロケ−ションの場合でも様々なものを取り付けたり(例えば植木、石垣、塀、看板、プレ−トなど飾り込む)
又建物をたてたり、ふさわしくないものは撤去したりして、作品の美術効果のための色々な表現を考え工夫します。
(旧い時代に見せたり、なにか雰囲気をだすためとか)実際に在る建物の外部、内部を加工して利用する場合もある。(ロケセットという)
監督の演出イメ−ジ、撮影監督、照明技師の意見、技術的条件、製作経費などをも十分に配慮、調整を重ねて最終的に区分けして美術監督は全体の美術的なイメ−ジを考えて行きます。

映画美術は人間生活の様々な場の表現ですから映画のセットの主なものは建造物、建築物が多く、作品のスケ−ルの大きさ、経済的規模、内容によっていろいろな場合によって異なります。
要求があれば飛行機でも、列車でも、船でもね、ビルでも特に、火事、爆発など、仕掛けのある物のなど、造ることがあります。
本建築の家屋設計は生活居住性が第一ですが、映画のセットの場合は部屋と部屋との関連性、季節、演技の動き、視覚構図、カメラの位置を充分に考慮しなければなりません。
かりに住居の一部分しか画面上では映なくても見えない部分、作られていない部分までも観客に感じさせるような設計、配慮が必要なのです。
映画美術で大事なことは、映画は全てカメラのレンズを通して見ると言う事です。その意味でも美術監督はそれぞれのセットのメインポジションの構図イメ−ジをしっかりと意識して芝居が出来て撮影が出来る映像的独特の空間を実現する為の作図発想をしていきます。

視覚効果の上で色彩についても同じ事が言えます。
同時に美術監督は作品の各シ−ンの比重を考え、ステ−ジの限られた空間をどう効果的に使うか、どの場面、どの屋外セットに予算をどう配分して効率的に使うかを考慮してデザイン作業を進めます。
美術監督の引く線一本、使う素材によって製作経費に大きな影響を及ぼすと言っても過言ではないのです。
 

【2美術設計(プランニング、デザイン)のための資料収集、美術考証】

シナリオに設定された作品内容は現代劇、時代劇に関わらず多岐にわたり、様々です。そして生活様式の変化流行はその時代の特色を物語るものです。
したがって資料収集と美術考証は美術の大事な基礎作業です。
通常明治時代を境に以後を現代劇、以前時代劇と区分けします。現代劇に於いても明治初期、後期、大正時代、昭和の太平洋戦争前、戦中戦後の時代の風俗、制度しきたり生活様式、建築様式は混在しながらも違いが大きいのです。
現代劇といっても様々です家庭の生活シ−ンひとつにしても、その時代の流行、生活程度によって、使われる建具類、家具、食器、衣裳、装身具など、は違いがあります。
使い方を間違えば生活感の雰囲気が違ってしまいます。
そのためには要求される時代設定された場所の資料(建築に関する写真、書籍、流行、風俗年代史等)収集してそれを参考にして色々な空想、想像の世界をふくらませてプランニングして具体的に図面化(デザイン)して絵にして行くわけです。
より良く、正しくその時代にあった 美術設計を行なうためには、綿密な資料調べと美術考証をしっかりとしなければならないのです。
例えば時代を特定しない時代劇の場合、シナリオがイメ−ジする架空の時代を想定し観客に架空であるけれどもある時代を感じることが出来る実在感、作品のリアリティを失わせない映像を作ることもあります。
映画は現実的リアルな、生活感のあるものもあれば、創りごとの世界、非現実的な夢の世界、幻想的な情景が主場面になる作品もあります。
いずれの場合にしても、美術監督は多くの資料、考証知識、豊富な経験、鋭い時代感覚、そしてなによりも豊な創造性によって、イメ−ジを膨らませ前述した諸々の条件を考慮して作品にふさわしい美術設計を行なうのです。
そしてそれを実際に具体的に造形するためのセットごとの数多くの図面を作成するのが美術監督の主たる仕事なのです。
 

【3美術設計(プランニング、デザイン)のためのロケ−ションハンティング(ロケハン) 】

美術プラン、イメ−ジを具体的な形にしていくには、建てる現場のスペ−ス(広さ)スケ−ル(規模 大きさ)全体の情況、感じ、立地条件等 を知らなければなりません。
美術はシナリオに書かれている必要条件を満たした 被写体 を具体的に、実際に本物らしく造形する仕事です。そのためにはシナリオの各場面を(ステ−ジ内セット)(オ−プンセット)(ロケセット)(ロケ−ション)などに区分けして設定するために、監督、撮影監督、照明技師、製作部等と ロケ−ションハンティング(ロケハン)を行います。ロケハンはロケ地を色々と探して 選定する作業です。
自然の景観を利用し撮影するための立地条件などを考慮して、ロケ−ションだけではなくて オ−プンセット、ロケセット 等現地に設営することもあり、また ステ−ジセットと関連して、家の外部はロケで、内 部はセットで撮影される事が多く 極めて重要な事なのです。
セットに関連のないロケ地の選定おいても、美術監督のイメ−ジが重要な役割をします。
作品の内容によってロケ地のその場所の設定はいろいろ多数の場合も有ります。
映画が多くの場面の集積で成り立っているので、全体画面の流れが美術的に統一性を考えて、設計しなければならないからです。ロケハンの過程のなかで、監督、撮影監督、照明技師らと話し合い、いろいろのアイデァ などで、だんだんと全体的イメ−ジが 固まっていきます。

美術ロケハン
美術監督は種々のロケハンの結果、決定した各場所に改めて美術助手、装置責任者、装飾者達と共に美術ロケハンを行ないます。
オ−プンセット、ロケセット等それぞれの現場での建造物等の建込みのための、写真、寸法どり、状況のメモ、又ロケとセットのつながりの為の寸法どり、参考メモをとり図面作成の参考にします。
更に前述した様に時代、建築、生活風俗等の資料を参考にして、なお撮影現場の種々の条件を配慮して、美術設計(構想)を練って、いよいよ各セットの図面の作成にかかります。
 

【4 図面作成(ロケセット、セットなどのデザイン) 】

ステ−ジ内外の造形するための セットデザイン(図面)するのが、美術監督の主体の作業(仕事)なのです。
シナリオに描かれた登場人物の生活環境、様子、時代、建築、生活程度、風俗様式の設定、季節感、俳優の演技上の動き、セット表現のための仕様材料、色彩、ステ−ジ条件、各セット毎の立地条件、キャメラポジション、照明、録音 の条件等などすべて配慮の上、被写体としての映画空間を具体的に設計していきます。
デザインは 平面図(プラン)、ラフスケッチ、透視図、立面図、部分詳細図などを書き ます。
さらに 決定図 に仕上げるまでには、監督、撮影監督、照明技師との打ち合せを します。
特に監督とは 平面図上で各セット毎の俳優の動き、カメラ位置、アングル、サイズなど綿密に細部にわたって 打ち合せを重ねて行ないます。
その上で 製作担当者プロデュサ−と 美術予算について折衝して、美術経費を効率よく運用する事を考えます。
いろいろな諸条件を 配慮し検討 の結果、各 セツトの 決定図 が仕上がります。
すべて作品の内容によって、予算の規模、セットの数 など異なってきます。
 

【5実際に 現場にセットを造る(表現する)作業について 】

美術監督(デザイナ−)が作成したいろいろな決定図面を基に実際に現実の建造物にしていきます。
図面として、紙に描かれたものでは、映像的創造空間の絵であって、実際の撮影にはなりません。
一口に映画美術といっても、美術監督が設計したイメ−ジ、図面を具体化する分野は多岐にわたっており、その各部門の専門的技能の積み上げによって、形 造られる。
各美術部門の責任者の人と、図面をもとに 綿密な細かな部分までの打ち合せをします。
画面のイメ−ジとか、希望を説明したり、色々な建築上の材料の選択をし、決定して発注します。
装置といわれる大道具の各専門職の大勢の人達(建て込み、建具、張りもの、塗装背景などなど)装飾といわれる 小道具 の人達のすべての技術の総合力によって、各セット、セットロケセットなど が仕上がっていきます。その一つのセット、次のセットと 全部のスタッフが入って、映画撮影することによって一つの作品を完成させていくことが、美術監督の仕事であり、責任なのです。
映画美術監督の職能は、長い経験と多くの良い資料と豊富な知識と、感覚によって映像画面の美しさを求めて、創造し、イメ−ジを図面化し、それを具体的に 造形化して、撮影するための 舞台(場)を造る 独特な 特殊の職能なのです。
これまでの長い映画製作の歴史の中で作品の求める映画的空間形成に果たしてきた美術監督の職能的役割 での貢献度は大変大きいわけです。
これからの映画製作上の新しい 機械 技術の進歩、CG(コンビュ−タ−)による表現の多様化、新しいメデイヤ との対応など、これからの時代も、映画製作の中で美術 の新しい形での 映像を作り上げるための職能的技術、感覚が 大きく求められる時代だと思います。
 

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