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準会員のつぶやき

今、思うに・・・

高橋 佳代

 子供の頃、親に遊びにつれて行ってもらった記憶。それは、共働きの父母が仕事の合間を縫って連れていってくれた映画館だけです。
連れて行くといっても、私はお菓子を買ってもらい、父は着席するやいなや深い眠りに入ってしまいます。父は映画に興味がない人でしたが、年に一度か二度、必ず連れて行ってくれました。「E.T.」や
「ハチ公物語」など・・・。
今でも鮮明に思い出されます。父を独り占めしているような感覚も合わさり、私にとって映画を観ること=(イコール)至福の時間だったのです。

 そんな私が今、映画の仕事をしています。
駆け出しの私には、毎日が勉強といった風に、目の前の課題を熟していくだけで精一杯です。辛いと思うことは沢山あるし、作品の終わりごとには脱力感が残るだけ。『これでいいのか?』と漠然的な疑問を抱いたとき、ある先輩に言われたのが「自分の基準となる作品(先輩)をつくることだよ。」という言葉でした。

 そして、運良く参加させて頂いたのが「釣バカ日誌」という作品でした。インディペンデント系の作品ばかりやっていた私には、映画を作る前からロードショーが決まっている作品は初めてで、予算も規模もスタッフ数も予想以上のものでした。
そこで、まず私がぶちあたったのが、自分の仕事探しでした。何年も何十年も前から、この作品に参加している諸先輩方が沢山いるなかで、私のような若輩者が入る隙間などなく、『自分の仕事を理解して何がやれるか』を探すことから始まりました。そして、ロケハン写真や既存の資料と、にらめっこを

する毎日。何か自分にもできそうなことがあれば立候補をして、分からないことは先輩に質問をする。

 その後気づいたのですが、実はこの状況は、勉強もさせてくれるし、やりたいことにはできるだけ挑戦させてもらえる、私にとって素晴らしい環境だったのです。
このスタッフ達は、ファミリー化していることもあり、初めて来る人には一見、入りづらく感じます。しかし、その扉を一度開けてしまえば、家族なのです。今まで出来なかった仕事の質問も、相談も怖くありません。誕生日があれば、みんなで祝ってくれたりもします。そこには、私が子供の頃に観ていた古き良き映画の姿がありました。

残念ながら「釣バカ日誌」は今年で終わりですが、私は自分が至福な時間を作る側にいるのだと実感することができました。

 私が実家を出て仕事をしている現在は、父母と映画館へ行く時間は持てていませんが、私が参加した作品を夫婦揃って観に行っているそうです。
親孝行をしているつもりはないですが、そんな二人の姿を見ることができ、私は幸せです。
こんな幸せが続くように、私は仕事を頑張って行きたいと思います。

 

 

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